栽培技術

栽培技術

環状剥皮

根の皮を形成層に沿って環状に剥がすと、そこから細根が発生します。主に養分、水分吸収するのは細根なので、貴重な樹木や大木を移植する際、手間はかかりますが数ヶ月~1年前位にこの環状剥皮を行って、活着を良くします。

通常、環状剥皮を行う必要はありませんが、高温、日照不足などの外的ストレス、粒が想定より大きくなってしまった場合、着房数を多くしてしまった場合などアブノーマルなケースでは、粒の表皮直下にアントシアニンが十分に蓄積せず、着色不良となり、糖度が上がらなくなります。この場合、着色向上のため、ブドウでは幹に環状剥皮を行うことがあります。

環状剥皮のメカニズムは、養分の通り道である師管部をはぎ取り、養分の根への転流を遮り房への分配を促します。このため、 環状剥皮を行うと樹勢が弱くなる恐れがあるので、勢いのない個体には実施するべきではありません。

ピオーネの場合、剥皮の幅は2cm、時期は満開後30~35日目が効果的です。 手順は、ナイフを表皮にあて、少し力を入れて入る部分まで押し込むと形成層まで届くので、あとは環状に剥がしていきます。その後、害虫の侵入と乾燥を防止するため、テープで保護します。

今回は、3本で実施し、うち2本の着色は期待通りでしたが、残り1本は伐採予定でしたので、基準より多く着房したためか、「赤熟れ」でした。またこの個体は例年あまり良く着色しない木であったこともあり、環状剥皮を行えばすべて良く着色するわけではないことがわかりました。このため、樹勢が弱くなるリスクもありますので、どうしても満足しなければ行う最終手段ではないかと考えます。

以下に実際の写真を時系列で掲載しましたので、カルス(分化していない植物細胞の塊)が発生し、傷口が癒着していく流れがわかると思います。(クリックすると拡大します)


 

施工前 7月20日

幹回り 31cm

形成層まで剥がす

ハサミを使うと便利

剥皮幅 2cm

完了したらテープで保護

施工完了

7月22日 茶褐色に

8月3日 カルス発生

8月3日 カルス拡大図

9月25日

9月25日 完全に癒合




花穂伸長処理

6月に行う「粒間引き」はブドウ栽培で一番忙しい時期になります。「粒間引き」とは、1房当たり30~35粒位にしかも形良くするために、不要な粒をハサミで間引くことで、数千房を付ける当果樹園では、気の遠くなる作業が続きます。このため、少しでも省力化することが多くの栽培農家の願いでもあります。

「花穂伸長処理」とは、種なし化、果粒肥大のために行うジベレリン処理を5月のまだ蕾の段階で行い、房の軸を通常より伸ばすことです。これにより、粒の間隔が広がるため、密度が低下し、「粒間引き」の労力を低減させる効果が期待できます。

実際行った結果、確かに房は伸びましたが、個体によっては脱粒が激しく、商品としての価値は下がってしまいました。この処理は海抜の高いところでは効果が効きすぎるので、今後はジベレリンの濃度を下げてみたほうが良いのではないかと思いました。現在のところ贈答用などには難しいですが、一般用として共用できるよう研究してみるのもいいかもしれません。


開花前 伸びすぎました

開花前 伸びすぎました

摘粒後 形が悪いですね




根系調査

伐採するピオーネ(幹回り43cm)があるので、主根を追い掘りし、延長を測ってみました。理由は、おおまかな根系の範囲を把握することで、効率的な施肥ができると考えたからです。

まず、1本の主根を掘ってみました。ブドウの根域は比較的浅いにもかかわらず、この根は40~50cm掘ってもまだ下に伸びていました。調査した圃場は水はけが良い山の斜面にあるので、根は水を求めて地下深くまで伸びていったものと思われます。ちょっとこれ以上掘れないので、他の主根を掘ってみました。

この根は、地面の浅い所を伸びていました。追い掘りしていくと、なんと約4.3mまで伸びていました。思ったよりも伸びているものですね。


調査対象木

地下深く伸びている根

追い掘りした根

延長を測ってみると

約4.3mありました

株元を裏返してみました




草生栽培

広大な果樹園内は、4月以降様々な雑草が生えてきます。この草を伸ばし、時々、草刈り機で刈る栽培方法を「草生栽培」、その逆でまったく草を生やさないことを「清耕栽培」と言います。

草生栽培の特徴としては以下の事項が挙げられます。

  1. 土壌物理性の改善
    固結した土壌を、草の根が伸長することにより破壊し、また、根が腐朽することにより、土壌中に空隙が生まれます。

  2. 土壌流亡の防止
    特に斜面に作られた果樹園では、降雨により土壌が流出してしまします。草を生やすことで根が表土を捕まえるので、年月をかけて作った貴重な土を守ることができます。

  3. 堆肥効果
    刈った草が腐朽することにより、堆肥施用効果が期待できます。他から運搬するより労力を必要としないのは魅力です。

  4. 土壌鎮圧の防止
    草がクッションとなるので、作業機械による土壌の鎮圧を抑制する効果があります。

  5. 作業性の向上
    土ぼこりや、降雨によるぬかるみの防止に役立ちます。

  6. 夏期の土壌温度抑制
    暑い時期に、地温の上昇を抑え、根を守ります。

清耕栽培の特徴としては以下の事項が挙げられます。

  1. 病害虫の抑制
    他の植物を中間宿主とした病原菌や、草むらに住み着くスリップスなどの害虫などのリスクを抑えることができます。

  2. 発芽時の地温上昇
    発芽時には地温を上げて、根の活動を促す必要があります。草が生えていると、地温の上昇が抑えられるので、芽の成長が遅くなります。

清耕栽培は草を生やさないので、鎌などを使い人力で雑草を抜根しなければなりません。旺盛な雑草の繁茂に対応するため、人力除草要員を確保しなければならず、比較的時間のある、おじいさん、おばあさんのいる農家であれば、対応することができるでしょうが、通常はなかなか難しいと感じています。
逆に、水持ちが良く、水はけも良い理想的な土壌の団粒化を図るためには、草生栽培こそ取り入れるべきだと思っています。

このため当果樹園では、草生栽培の多くのメリットを考慮し、さらに効果を向上させるため、「積極的草生栽培」を実践しています。これは、ブドウの有効根域である幹を中心とした半径3mの範囲に、肥料効果のある草種を播種し、土壌物理性と堆肥効果の向上を図っています。

試験的に昨年の秋、マメ科の「ヘアリーベッチ」を播種していみました。マメ科の植物は、根に根粒を持ち、ここに根粒菌(細菌)が共生し、空気中の窒素を固定する働きがあるので、肥料効果が高い植物です。そして、被覆力が強く、アレロパシー作用(他感作用)があります。アレロパシー作用とは、その植物が放出する化学物質で、他の植物の発芽を抑制する作用があります。このため、雑草の抑制に大いに役立つ植物なのです。

また、幹の周囲は、害虫による被害を軽減するため草は生やさず、水の蒸散防止のために萱(ススキなどカヤツリグサ科の植物の総称)を粉砕し敷き均しています。作業通路には、ケンタッキーブルーグラスなど数種類の牧草を播種し、短く刈り込む事により美しい景観と作業しやすい環境を作ることを目指しています。

まだ、試行している段階なのですが、土は柔らかくなり、ほどよい水分により、ミミズも多く見られました。ただ、ヘアリーベッチは思ったより草丈が伸びたので、当初は6月に枯死して、そのままマルチングとなり雑草の防止を予定していましたが、5月に草刈をすることになったのは誤算でしたが・・・

今後、結果を踏まえて、改善していきたいと思っています。


ヘアリーベッチ 成長旺盛です

ヘアリーベッチ拡大

萱の下にはミミズが




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