重森三玲生家跡 |
昭和の作庭家、華道家であり庭園研究の第一人者である重森三玲は、現在の岡山県加賀郡吉備中央町吉川に明治29年(1896)に生誕しました。この生家に作庭したのが、重森三玲の処女作になります。
重森三玲が、郷土の吉川八幡宮を文化財に指定するべく、古建築家の専門家である東京の関野貞博士を招いて調査してもらうことになりました。宿泊施設が無かったので、博士は三玲の生家に滞在することになり、これを契機に、三玲は生家の庭園を整備することになりました。しかし、三玲は造園を専門にしていなかったので、京都大徳寺大仙院の枯山水庭園を参考に、大正14年(1925)に作庭しました。
庭園は、この地にあった茶室「天籟庵」の茶庭として作庭されたもので、庭園最奥部に枯滝石組があり、大仙院庭園の不動観音石を思わせるような立石を主体とした構成です。その下部に石橋を架け、大きな曲線の枯れ流れが建物に向かって流れています。
モダンな作風で知られる重森三玲の生家跡庭園に行ってきました。といっても家から自動車で20分位なので、いつでも行けるのですが・・・
最近まで荒廃していましたが、平成22年のおかやま国民文化祭で、吉備中央町が 庭園「美の世界」というテーマで催しを行う際に再整備され、見違えるほどきれいになりました。
庭園は、力強い石組を枯山水があり、枯山水のなかに渡れるように飛び石があるのが特徴です。20歳そこそこの青年の処女作とは思えないほど、よく造られていると思います。