常徳寺庭園 |
常徳寺は浄土宗鎮西派の寺院で天正年間(1573~1591)の創建と伝えられていますが、たび重なる災禍により文献が焼失したので、はっきりとはわかっていません。本堂前の墓地には、中世から江戸時代のものとみられる古墳・石塔があるので、天正年間以前にも寺院が存在した可能性もあります。明治3年(1870)に焼失し、翌年に再建され現在に至っています。また現在は、住職不在の寺院となっています。
庭園は池泉観賞式で、池の中央に中島が築かれています。ただ、池は涸れた状態にあります。中島には小振りな山形石、立石、積石などがあり、蓬莱山を思わせる造りになっています。池の奥にある高さ約7mの巨岩を遠山石に見立て、その南裾部を巧みに削岩し、力強い渓谷風の滝石組に仕上げています。
作庭者は、江戸時代に編纂された「防長風土注進案」から、雪舟が作庭したのではないかと思われますが、常徳寺の創建時期と雪舟の生きた時代が異なるので、雪舟作ではないとの考えもあります。国指定名勝。