牧野植物園 |
牧野植物園は高知県出身で日本の植物分類学の父と呼ばれている牧野富太郎の業績を顕彰する為に造られた植物園で、1958(昭和33)年に高知市五台山に開園しました。
隣接する竹林寺の境内も一部利用した園地面積は6haにもなり、起伏に富んだ敷地には富太郎ゆかりの野生植物など約3,000種類が植栽されています。1999(平成11)年には植物に関する教育普及の拠点として「牧野富太郎記念館」を、2008(平成20)年には東洋の園芸植物中心とした「50周年記念庭園」を各々新設するなど植物の保存・研究・教育普及・憩いの場を目的とした総合植物園として今尚進化しています。
牧野富太郎は、1862(文久2)年に高知県高岡郡佐川町に生まれ、幼少から植物に興味を持ち独学で植物学の研究を続けていました。22歳で上京すると幸いにも東京帝国大学理学部植物学教室に出入りを許される機会を得て、大学の文献や資料を自由に使い植物研究に没頭していきました。27歳のときには新種の「ヤマトグサ」を発見したことから研究者として世界的に知られるようになりました。その後、帝国大学の教授との確執などもあり一時大学への出入りが禁じられるなど苦難もありましたが、「日本植物志図篇」「大日本植物志」「牧野日本植物図鑑」などの多くの学術書の執筆や、晩年になってなお衰えない植物研究で多くの人々に影響を与えました。
日本で最も知られている植物学者と言っても過言ではない牧野富太郎博士の業績を顕彰する植物園に行ってきました。
この植物園は名勝庭園で知られる五台山にある竹林寺に隣接しており、富太郎博士が植物園を造るなら五台山と言われたことがこの地にできた理由のようです。高地にあることから、南国土佐ですが雪景色も楽しめます。山の起伏をそのまま利用してあるので、園内を散策というよりもハイキングに来たようで、一回りするとけっこう疲れます。
この広大な園地は富太郎ゆかりの植物エリア、地元土佐の植物エリア、薬用植物エリア、温室などの植物園本来の展示以外にも、郷土の偉人富太郎の生涯を紹介したり、蔵書や直筆の植物図を展示した記念館、カフェやレストラン様々な施設、見どころが多々あります。大人は美しい花や五台山からの素晴らしい景観で癒され、子供は植物について学び、そして家族全員で園内でランチを食べるなど様々な楽しみ方を味わえます。
そして、私が牧野富太郎といって最初に思い出すのが「スエコザサ」です。植物学の研究に没頭するあまり経済的に困窮していたときもありましたが、愛妻「壽衛」が働くなどして富太郎を支えていました。妻の死後、感謝の意を込めて新種のササに「スエコザサ」と命名したのは良く知られています。夫婦が助け合って生きていくのは美しいですね。