旧大岡寺庭園 |
古くから神の山と呼ばれ、修験霊場だった大岡山に存在した旧大岡寺の由緒はわかっていませんが、永暦2年(1161)には、惣寺内・4至があったことが確認されています。中世には最も繁栄し、12坊の別院がある大伽藍を形成していましたが、明応4年(1495)に火災で全焼してしまいました。
明応9年(1500)に本堂が再建され、天和3年(1683)に現本堂に改築されました。現代になり、積雪の不便さから部落が麓に集団移転するのと同時に寺も移転し、堂舎の基壇・礎石と庭園を残すのみとなりました。
庭園は庫裡書院の東庭として造られましたが、現本堂からは主要部の滝石組が見えないことから、明応の再建時に造園されたものと推考されています。池泉観賞式で、山裾に沿って池を掘り、巨石を用いて「山麓」「護岸」の石組を形成しています。池には2つの岩島があり、滝石組を中心に、石組が左右に展開しています。この地割、配石は、一乗谷朝倉氏諏訪館跡庭園によく似ており、中世末期の庭園様式を今に伝える貴重な庭園となっています。国指定名勝
兵庫でも日本海側に近い大岡山にある、旧大岡寺庭園に行ってきました。来園者がほとんど来ないのか、近くに来ても案内看板がほとんど無く、相当迷いながら、やっと到着しました。園内は名勝庭園なのに管理されておらず、雑草が繁茂し、木々に覆われ薄暗く、ヘビやイノシシが出そうで恐怖すら感じました。
建築物は無く、名残の礎石しか残されていません。また、庭園は池の護岸と付随する石組みしか残っていません。しかし、多くの巨石を配した造りは、当時の大岡寺に相当大きな力があったと一見して感じさせられました。ただ、名勝庭園でここまで管理されていないは問題です。来園者が気軽に見学できるよう、もっとPRし、管理を充実させていただければと強く願う次第です。