樹木の治療

樹木診断

古典的な手法 腐朽箇所の除去と充填

樹木治療の歴史は意外と古く、1640年 イギリス人のロートンがモルタル充填法を記した著書を発表しています。1790年頃になると、フランス王宮庭師フォーシスが石炭、木炭、砂などで樹木の空洞を埋める「空洞充填法」を、1865年 デ・カーが「樹木剪定法」で、幹に接して枝を切除する、空洞は内部を清掃しタールを塗布する等の外科手術方法を発表しました。

また、1896年にアメリカのストーンが充填剤として亜鉛、錫、銅、アスファルト、砂、タール、木片、木粉、セメントを使用した樹木外科手術を主導し、アメリカ国内で発達していきました。

日本では、昭和12年(1937年) 関谷文彦氏が「樹木の外科手術」、昭和39年(1964年)上原敬二氏が「樹木の保護と管理」で外科手術の方法を発表しています。上原氏は外科手術の基本として以下の7点を強調しています。

①患部を注意して削り除く。そのために空洞が広くなってもよい。
②切断面、削り口は完全に消毒・殺菌する。
③切断面、削り口には雨水が入らないよう、溜まらないよう防水して注意する。
④剥皮部は材の面の形を治療しやすいような形に削り直す。
⑤すべての充填後の表面仕上げは形成層の発育を助ける形とする。
⑥手術は必ずしも1回で行わず、状況を観察して2~3回に分けて行ってもよい。
⑦手術の状況には注意を払う。応急の対策を考えておく。不良個所は速やかに再手術すること。

このように、樹木の腐朽箇所、場合によっては腐朽箇所以上を削り取り、消毒した後、コンクリート、ウレタン、アスファルト、土などを充填していました。(クリックすると拡大します)


ウレタン充填例

モルタル充填例

充填物に着色



現代の手法 シャイゴ博士の理論

現代では、アメリカのシャイゴ博士(Alex L.Shigo 1930~2006)が、15000本以上の腐朽患部を解剖し、樹木の自己防衛機構を詳しく分析した結果をCODIT(Compartmentalization of Decay in Living Tree)モデルと発表してから、上記のような外科的手法での治療は基本的に否定されるようになりました。

CODIT(Compartmentalization of Decay in Living Tree)モデルとは、樹木が腐朽に反応して、拡大を防ぐための自己防衛機能として強固な壁を形成することです。

この壁は4つあります。第1の壁は科学的物質を発生し縦方向の拡大を防ぐ壁です。第2の壁は、年輪によって内側への拡大を防ぐ壁です。第3の壁は、放射柔組織によって横方向の拡大を防ぐ壁です。この3つの壁は、フェノール等の科学的物質を集積し形成されています。

4つ目の壁は一番強固な壁で、形成層と最も新しい柔細胞の働きで形成され、内部にある腐朽が外側に広がろうとするのを防ぎます。

樹木の空洞の腐朽箇所、場合によっては腐朽箇所以上を削り取っても全ての菌糸を取り除くことは不可能に近く、また、空洞箇所を閉じてしまうことにより過湿状態になり腐朽の進行が早くなったり、状態が確認できなくなる欠点が指摘されるようになりました。このきっかけとなったのはシャイゴ博士のCODITモデルなのです。樹木がフェノール、テルペンなど自分で復活する物質を出していることも知られるようになりましたので、心材を削る外科手術での治療は否定されています。



CODIT


シャイゴ博士の剪定理論

シャイゴ博士は、樹木にダメージを与えない剪定位置について、第一にブランチカラー(BC)とブランチバークリッジ(BBR)を切り取らないこと、第二に、保護帯(プロテクションゾーン)を切り取らないことを挙げています。

正しい位置で剪定すると、カルスが切口の全周から巻き込み、やがて傷口は閉塞されます。フラッシュカットすると、保護帯(プロテクションゾーン)までの切り取ってしまうので、幹内部まで腐朽が進行し始める可能性が大きくなります。

注:プロテクションゾーンについては科学的な実証はまだされていません。

CODIT


剪定方法
                                     

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