1級造園技能士への道

1級造園技能士への道

造園技能士とは

造園技能士とは、「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」で、職業能力開発促進法に基づき実施されている公的資格です。

造園技能士は1級、2級、3級があり、当然ながら1級が最も取得が困難です。1級は厚生労働大臣、2級、3級は都道府県知事により合格が認定されます。


造園技能士の意義

一般的に、造園施工管理技士を取得すると、公共事業の現場代理人(一般的には現場監督)ができます。しかし、造園技能士を取得してもそこまでのメリットはありません。取得しなくても造園の仕事をする上で支障はまったくありません。

では、なぜ造園技能士を取得するのでしょう?

正直、昨今の庭事情で、本格的な日本庭園を作庭する機会は数少ないと思います。個人の家の庭は、美しい芝生や花木、レンガ花壇に草花などなど・・・  洋風の比較的小さな庭を作られることが多いでしょう。
マンション、団地の公共スペースとしてのガーデンも、ベンチを置いたり、園路はインターロッキングでカラフルな舗装にしてみたりと洋風がほとんどで、日本庭園的な趣は、アクセントとしてスペースの隅にあるかもしれない といったような決して主役ではない役割となっているのが実情です。

僕は当初、技術向上のために自主的に取得を目指し、合格しましたが、この技術を仕事で生かす機会はほとんどありませんでした。では、費用が掛かってまで取得した造園技能士を後悔しているか? というとそれはまったくなく、取得することによって、やれば出来るようになるという個人的な自信と、造園に携わるものとして、日本庭園の歴史を受け継いできている義務の遂行、誇りが出てきたような気がします。 やはり、日本の造園家としては、筆記試験しかない造園施工管理技士よりも、所得してみたい、取得しておきたい資格だと考えています。


試験内容

試験内容 試験は以下の通り、3つの試験全てに合格しなければいけません。
 ・実技試験
   図面に記された坪庭を施工する。
 ・要素試験
   樹木の枝の部分を見て、樹種名を判定する。
 ・学科試験
   造園の歴史、施工方法、材料、法規などを問う。

実技の主な施工内容は以下の通りです。
 3級は四ツ目垣にレンガ花壇、平板設置
 2級は四ツ目垣に二脚鳥居支柱、飛び石、縁石
 1級は銀閣寺垣(建仁寺垣の変形)につくばい、延段


経過

僕は、平成13年に3級造園技能士を、平成15年に1級造園技能士を取得しました。

3級の取得は比較的簡単だと思います。その時受験した十数人全員合格していました。このため、まずは腕試しに3級を受験して感じをつかんでみるのが良いのではないでしょうか。僕は、最終的に1級を取得するつもりでしたので、3級取得後、あえて2級は受験せず直接1級を受験しました。仮に1級の受験に失敗しても1回受験しておけば時間配分や試験の雰囲気がつかめると思ったからです。


3級造園技能士受験(平成13年取得)

実技試験

平成12年の12月 千葉県立我孫子高等技術専門校(たしかここだと・・・記憶しています)で受験しました。愛車オデッセイに道具を載せて神奈川県横浜市の自宅から首都高速に乗っていきましたね。一緒に受験する仲間の道具も一緒に積んでいたので、遅れることは絶対許されず、気合を入れて朝起きた記憶があります。

試験時間は2時間(昔のことなので記憶があいまいですが)。2時間30分まで時間延長は可能ですが減点されます。試験内容は四ツ目垣、レンガ縁石設置、平板飛び石設置です。

前日までの練習した感じでは、時間に余裕があり、他の仲間と比較しても早く出来るほうだったので、「これは楽勝」だな と思っていました。しかし、実際の試験では大きな落とし穴が・・・

四ツ目垣の支柱を設置する際に掘削するので、土が余ります。練習で、他のメンバーが余った土を上手に利用して、レンガの縁石内に花壇用の土として利用していました。これを見て、景観的に美しいなと感じてしまいました。 このため、本番で支柱の埋め戻しをする際、力を加減して土を練習時より多く余らせました。これが失敗。 最終的に土が余りすぎて、レンガ縁石より溢れてしまいました。あわてて支柱、レンガ縁石、平板飛び石の周りの地面を突いてスペースをつくり、土を処分しようとしましたがなかなか減らず、逆に、レンガや平板がガタガタになる始末。練習では楽勝だったのに2時間では完成せず、何とか形になったのは15分位オーバーしてからでした。

完成後、検査員が出来栄えをチェックします。支柱の位置を測っていましたが、図面よりけっこうずれていました。 うーん・・・ 土を強引に埋め戻したのでずれたか・・・

その後、要素試験を同じ会場で行いました。それほど難しくはないと思います。


3級造園技能士

学科試験

実技・要素試験の合格通知がきました。仲間は全員合格していた(実技で2時間30分ギリギリまで作業していた人も受かっていました)ので、実技・要素試験の合格率はかなり高いのでしょう。

学科は千葉県幕張で行われました。「3級造園技能検定受験の手引き」(社団法人 日本造園組合連合会)を勉強していけば、けっこう余裕で受かるのではないでしょうか。


まとめ

トラブルもありましたが、全員合格していました。3級造園技能士の合格率は不明ですが、かなり高い確率で合格するのではないでしょうか?


1級造園技能士受験(平成15年取得) 

はっきり言って、対外的に3級ではまったく認められないと思っています。
お客さんに「僕は3級造園技能士です。」と言っても、なんだ3級か 1級や2級じゃなくて大丈夫かな?と思われるのではないでしょうか。また、他の造園業の人には、まだまだだなと思われるのが関の山です。

平成14年

1級の受験を申込みました。周りに1級造園技能士を取得した知り合いがいないので、¥55,000(高い)支払って、神奈川県造園業協会に講習の申し込みもしました。

しかし、仕事が忙しくなって講習にいけません。会社でも練習しようと思いましたが、毎日暑くて・・・結局 会社での自主練習は支柱1本立てただけで試験当日がきてしまいました。会社の先輩に、「受験しないまでも見に行って来れば。来年の参考になるよ」と言われました。しかし、日々の仕事により、暑さでヘロヘロになっており、また、当然受けても受かるはずもないので、その日は家で寝てました。  受験料と講習費ウン万円をドブに捨ててしまいました。


平成15年

今年こそという思いでもう一度申し込みました。今年は頑張るぞ!試験日は盛夏の8月です。

●神奈川県造園業協会の事前講習

神奈川県都筑区のJA(農協)内に、造園技能士試験の会場があります。ここを使用して、事前講習が開催されます。本番と同じ場所での講習なので、かなり参考になるのではないでしょうか?
試験前月の7月に行われました。

講習は2日間の日程で行われました。1.75日は、実技試験の講習が行われ、残りの0.25日は要素試験の模擬試験がありました。実技試験の講習は、各自図面を見ながら課題を作っていき、不明点を講師の方に尋ねるという形式で進んでいきます。図面からでは読み取れないGLからの間柱寸法、役石の位置、高さ等教えていただき、非常に参考になりました。

講習1日目は、あいにく雨天のため、土が重く、まったく作業がはかどりません。重くて石が据えられず、また当然整地もできずひどい仕上がりになってしました。時間も3時間では完成せず、これは本番どうなるのだろう・・・という不安、あせりがでてきました。

講習2日目は曇天でしたが、昨日の雨で土がやはり重く、作業がはかどりません。3時間では完成せず、3時間半近くかかり完成しましたが、やはり整地が綺麗にできず、見栄えとしては最悪に近いものでした。

講習2日目の終盤に要素試験の講習がありました。
講師の方が近隣に植わっている20数種類の植物を持ってきて、模擬試験形式で行いました。
1樹種の判定時間は30秒。
「よーし 頑張るぞ」 「この葉は・・・ この枝は・・・ ???」
正直、植物を注視して観察してこなかったので、あまりわかりませんが、半分くらいは当っているだろうと思いながら、回答用紙を提出しました。
数分後・・・  「試験結果を返却します」との講師の声で皆が集まりました。
何故か最初に呼ばれたのが僕。結果を見ると
「げーー 6点」

どうやら点数の低い人から返されたようです。ということは僕がビリ。
本番まで1ヶ月弱。 実技試験は時間内に出来たことがない。要素試験はビリ。ここから意を決して、反転攻勢が始まります。続きは次ページへ


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講師模範

講師模範

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講習での作品です

土が重く仕上げが汚い

土が重く仕上げが汚い



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